【読書習慣#4】なぜ国語を学ぶのか(村上慎一)

小論文対策講座みたいな話になりますが、でっかいテーマを語るとき、決まって内容がぼけてしまう(ピンぼけみたいな現象)ことが多くあります。

なんでかって、答えがたくさんあるから。A以外の答えがたくさんあるから、そしてそのAではない答えの方が場合によっては優れている場合もあるから。

だから、こういった命題に取り組むにはかなりの勇気がいると思います。

 

なぜ国語を学ぶのか (岩波ジュニア新書)

なぜ国語を学ぶのか (岩波ジュニア新書)

 

 著者は現役の高校教師でありますが、生徒との対話によって、答を見出そうとします。

その方法はうーん、どこかで聞いたことがある…と思っていたらこれでした。

ソクラテスメソッド!だ!!!

問答法(もんどうほう、希: διαλεκτική, dialektike, ディアレクティケー; 英: dialectic)とは、古代ギリシアの哲学者ソクラテスが用いた、対話によって相手の矛盾・無知を自覚させつつ、より高次の認識、真理へと導いていく手法を指す。

 【参考書籍】こちらの2冊を例示します。

ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)

マンガで読む名作 ソクラテスの弁明

 

大きなテーマを扱う、本質的な本ですが、先生は「答え」になる核心部分をなかなか教えてくれません。対話によって、生徒に気付かせようとしています。しかし、生徒は早く答えにたどり着きたくて若干イライラする部分もでてきます。

教員とは、なんなのか、どういう存在であるべきなのか、というのは学習指導要領を超えた、個人の中に秘めるものだと思います。

例えば、ソクラテスのように「何ですか」と生徒から質問されたら、「なんだと思う」と聞きかえすような作者の対極には、「なんですか」と聞かれたら「○○だよ」と、正解のATMのような存在があるでしょう。

塾の講師であれば、答えのATMで十分機能すると思います。

教員もそういった部分はある程度必要だと思います。でないど議論が前へ進みません。

しかしながら、本質的な部分については、生徒に気付かせるはたらきかけが必要だと感じて言います。どういうタイミングで、生徒は、何に気づくかわかりません。

そういうきっかけを大切にされているのだな…とつくづく感じました。

この本の中に出てくる引用部分が気に入りましたので備忘までに残します。

 

二十億光年の孤独 (集英社文庫)

かなしみ

あの青い空の波の音が聞こえるあたりに
何かとんでもないおとし物を
僕はしてきてしまったらしい

透明な過去の駅で
遺失物係の前に立ったら
僕は余計に悲しくなってしまった

この詩について解説しているブログを見つけました。

谷川俊太郎の十篇(2 かなしみ) - 詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

谷川俊太郎氏は有名な方ですね。「朝のリレー」は教科書にも出てきます。

 

この詩を解説している本があります。

詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)

詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)

 

何かの機会に手に取ってみたいです。

 

それでは、また。